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【教えて!五ツ星タマリエ】"元祖五ツ星タマリエ"が探求する卵の魅力と、今こそ伝えたい真の「卵の価値」

卵を知り尽くした「五ツ星タマリエ(※)」に、卵の魅力を語ってもらう、新連載「教えて!五ツ星タマリエ」。鶏卵業界1年生の編集担当Mが五ツ星タマリエのみなさんに卵の世界を教えてもらう、という企画です。記念すべき第1回は、五ツ星タマリエ検定の第1回目の認定者になった"元祖五ツ星タマリエ"の一人、キユーピー株式会社の児玉大介さんです。

※「五ツ星タマリエ」とは、卵に関する知識を正しく理解した人に与えられる卵のソムリエ資格「一ツ星・三ツ星・五ツ星」3ランクの最高位の称号です。卵のことなら何でも分かるプロ中のプロとして認められる栄光の資格です。


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児玉 大介(こだま だいすけ)

小学校の自由研究以来、生物(特に鳥・卵)が大好きに。名古屋大学で卵の研究に没頭し、卒業後も卵に関する仕事がしたいという想いでキユーピーに入社。卵商品の製造や研究に従事し、現在は、キユーピー株式会社の研究開発本部で卵の研究開発を行っている。卵に関する論文はほぼインプットしている、卵博士!2020年に 「五ツ星タマリエ」の資格を取得。これからも「卵の魅力」を探究し発信していきます。

―編集部M

こんにちは! 「たまペディア」の編集担当Mです。まだこの業界に入って1年目で知らないことばかりなのですが、諸先輩からたくさん知識を吸収したいと思っています。本日はよろしくお願いします。

実は、児玉さんは「たまご知識普及会議」の元メンバーということもあり、「たまペディア」の編集メンバーにはお馴染みの方です。このポータルサイトを立ち上げた背景には、児玉さんの長年の想いとアイデアがあったと聞いています。

では、改めまして自己紹介をお願いします。

―児玉さん

こんにちは。五ツ星タマリエの児玉です。

現在私は、キユーピー株式会社研究開発本部に所属しながら、卵の研究開発を行い、イベントやメディア等で卵の魅力の発信なども行っています。

小学校の自由研究以来、鳥や卵が大好きになり、大学時代も鶏や卵に関する研究をしていました今でも卵に関する仕事に携われていることは幸せだと感じています。

―編集部M

そうなんですか! 小学生の頃からずっと卵のことが好きとは驚きました。まさに、"天職"ですね。

―児玉さん

はい。そして、立ち上げに関わった「たまペディア」でインタビューを受けることもとても嬉しいです。今回は、そんな私が大好きな「卵」について、その魅力を伝えたいと思います。

―編集部M

よろしくお願いします! まずは、卵のどんなところが好きなのか、教えてください。

 

日本人の9割は卵が好き

―児玉さん

こんなデータがあります。キユーピー株式会社とキユーピータマゴ株式会社が毎年行っている調査「たまご白書」によると、日本人の約9の人は卵が好きなんです卵が嫌いと答えた人は1だけ。このような食材は他にありません。

―編集部M

なんと、9割も! 生食はもちろん、料理からスイーツまで幅広く使われていますもんね。卵のどこが好きなのでしょうか?

―児玉さん

卵が好きな理由として挙がるのは「おいしい」「調理が簡単」「健康に良い」などでした

近年は、良質なタンパク質が手軽に摂れる等、特に健康面で卵の注目が高まっています。有精卵を温めると21日でヒヨコが生まれます。卵1個から雛が1羽孵るということは、生命に必要な栄養素が詰まっているということですね。

―編集部M

確かに。卵がエサを食べることはないですから、殻の中にある栄養だけで生命が誕生するということですね。神秘的!

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卵は健康機能が詰まった食材!

―児玉さん

だから卵は「生命のカプセル」とも呼ばれます。

それくらい栄養が豊富ということです。卵の健康機能として、筋肉量のアップや、ダイエットに関する効果、認知症リスクの低減など、さまざまな機能が報告されています。     

―編集部M

認知症リスクを減らしてくれるんですか! 高齢者にとっても嬉しい食材ですね。

―児玉さん

卵黄には、リン脂質の一つである「ホスファチジルコリン」が多く含まれ、 「卵黄コリン」と呼ばれています。このコリンが脳内の情報伝達を行うアセチルコリンの原料となるため、脳の働きを活性化します。認知機能に効果があると言われており、アルツハイマー型認知症の予防に効果的だと、期待が高まっているんです。

―編集部M

そうすると、たくさん食べたくなりますが、1日何個食べて良いのでしょうか? 私の親は、コレステロールのことを気にしていましたが......。

―児玉さん

近年では、卵を食べても健康な方の場合コレステロール値は上がらないということが、科学的に証明されています。

コレステロールは人の体にとって必要不可欠な栄養素で、細胞膜やホルモンのもとになります。体の中にある約80%は体内で作られ、食事由来のものは約20%程度です。また、食事から多く摂った場合でも、人の体には体内のコレステロール量を一定に保つ機能があるため、昔言われていた「卵は1日1個まで」は誤った情報なんですよ。

他にも卵の健康価値について、タマゴ科学研究会が発行しているこちらの冊子タマゴの魅力」にもまとまっていますので、是非ご参考ください。

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賞味期限に着目! 相性の良い料理とは?

―編集部M

児玉さんはメディアに登場される機会が多いですよね。どのような取材を受けることが多いですか?

―児玉さん

はい。五ツ星タマリエとして、様々なメディアから取材依頼を受けています。その中で、私たち業界の人間なら当然知っている「の常識に関する情報」について、メディアや消費者の需要が高いことを感じています。

例えば、「卵は産卵されてからの経過日数によって状態が変化するため、卵パックに記載してある賞味期限に着目すると、より美味しく食べることができる」といった記事があります産経新聞 卵は『産卵日』で使い分け」)

―編集部M

確かに、この業界に入るまで全然気にしていませんでした(笑)。ちなみに卵の賞味期限はどういった基準で決められているんですか?

―児玉さん

市販の卵の大半は、賞味期限をパッキングした日から2週間程度を賞味期限に設定しています。25度で保管された場合に安心して生で食べられる期限という意味です。中には採卵日を記載している卵もありますね。その賞味期限から何日前か、を見ると相性の良い料理が分かります。

―編集部M

へー! 何が変わるんですか?

―児玉さん

ポイントは白身の弾力です。白身は時間が経つ変化します。黄身はほとんど変わりません。卵白には粘り気の強い「濃厚卵白」と、さらっとした「水様性卵白」があるのですが、一般的に産みたての卵は濃厚卵白の割合が多く、日が経つにつれて水様性卵白が増えて、さらっとした状態になります。

卵かけご飯で、プリっとした卵白の食感を楽しみたい人は、産卵後4日目頃までの卵がおすすめです。白身がぷっくりした目玉焼きにも向いています。

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日を置いた卵が向いている料理は?

―編集部M

なるほど。では、日を置いた卵が向いている料理は何ですか?

―児玉さん

混ぜて作る料理が向いています。例えば茶碗蒸しは、卵白がさらっとしている方が出汁と混ざりやすく、「す」が入りにくいです。黄身と混ざりやすいので、卵焼きや卵スープにも最適です。

あと、ケーキの生地に使うメレンゲを作る時は、賞味期限の迫った卵白を使うと泡立ちが良いですよ。

ゆで卵は、白身から炭酸ガスの抜ける5日目以降の卵で作るのがおすすめです。殻がきれいに剥けて白身のぷりっとした食感を楽しむことが出来ます。

―編集部M

奥が深いですね。勉強になります! 他にはどんな取材がありましたか?

―児玉さん

おいしい目玉焼きの作り方に関する取材ですねAll About NEWS「好きな卵料理ランキング不動の1位! 卵のスペシャリストが教える『目玉焼き』の究極の作り方」)。

前出の「たまご白書」の調査で、「好きな卵料理」を尋ねたところ、目玉焼きが4年連続1位でした。それだけ皆さんに愛されている目玉焼きの「究極の作り方」をご紹介しています。

―編集部M

なにも考えずに焼いていました(笑)。次作る時に参考にします! 本当に様々なメディアに登場されていますね。

―児玉さん

お陰さまで、「卵 児玉大介」と検索すると五ツ星タマリエとして発信させていただいた記事などがたくさんヒットするようになりました。

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メディアや消費者の方が、卵のどんな情報に関心があるかを意識しながら、今後も卵の魅力を発信していきます。

今こそ伝えるべき、本当の「卵の価値」とは?

―編集部M

では、児玉さんがこれから発信していきたい「卵の魅力」は何でしょうか?

―児玉さん

この数年は、鳥インフルエンザなどで、卵の価格が上がっています卵は以前より「物価の優等生」という評価をされてきました。しかし実際、消費者に卵が好きな理由を聞いたところ、価格が安いからと答えた方は3割程度という結果があります(直近の価格高騰前の「たまご白書」の調査結果)。

―編集部M

「安いから好き」という方も一定数いるのですね。

―児玉さん

そうです。私は、卵の価値を知る者・発信する者として、「物価の優等生」という卵の評価に、少し違和感があります。この60年で、アンパン10倍に、うどんは20倍の価格になりました。一方、卵はこの60年で価格が変わっていません。

―編集部M

60年も! 何故変わらなかったのでしょうか?

―児玉さん

様々な理由がありますが、生産者の方々の努力と、養鶏技術の発展が背景にはあります。ただ、食べ物が充足されている現代の生活の中で、卵の価値は「安い」ことなのでしょうか。他にも伝える価値がたくさん詰まっています。つまり「物価の優等生」は必ずしも正しい評価ではないのではと感じているんです

―編集部M

そうですね。価値に見合った評価をされるべきです。

―児玉さん

卵は、おいしくて、健康にも良い食材です。そして、食卓を彩ってくれます。黄色の食材はフルーツ以外では少ないですからね。また、生で食べられるということも、日本の卵特有の価値です。生産者や流通業者をはじめ、様々な方の工夫と努力が生食文化を支えています。

卵の価値をさらに上げていくこと、そしてこのような一つひとつの価値を広く啓発することで、適切な価値を認めていただきたい。そのような想いで、これからも卵の研究と発信に努めていきます。

―編集部M

本日はありがとうございました。我々「たまペディア」も一緒に情報を発信していきます!

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