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【教えて!五ツ星タマリエ】"卵王子"こと半澤清哉がSNS・クラウドファンディングで拡散する「卵の価値」

鶏卵業界一年目の編集担当Mが、五ツ星タマリエ(※)のみなさんに、卵の魅力や世界を教えてもらう企画も2回目になります。今回は幼い頃から卵に囲まれた育った史上最年少五ツ星タマリエの半澤清哉さんにインタビュー。横浜の鶏卵メーカーで営業職として働きながら、家業である鶏卵会社のマーケターも務める半澤清哉さんに、SNSやクラウドファンディング活用のポイントについて伺いました。

※「五ツ星タマリエ」とは、卵に関する知識を正しく理解した人に与えられる卵のソムリエ資格「一ツ星・三ツ星・五ツ星」3ランクの最高位の称号です。卵のことなら何でも分かるプロ中のプロとして認められる栄光の資格です。


写真(児玉).JPG

半澤 清哉(はんざわ せいや)

大学卒業後、横浜の鶏卵メーカー・株式会社八千代ポートリーに入社。営業職として働きながら実家の株式会社半澤鶏卵のマーケティング部隊としても活動。半澤鶏卵の卵を使用した「たまごジェラート」の開発を目的としたクラウドファンディングを実施し、支援金額1,624,500円(目標金額の541%)、支援者数309人を達成。2021年4月に、半澤鶏卵の卵や山形をはじめとする地域の特産品や観光地を全国に広めるために、株式会社RISEを設立。SNSやクラウドファンディングの運用代行・コンサルティングを行う。

―編集部M

はじめまして! 「たまペディア」編集担当Mです。本日はよろしくお願いします。半澤さんは史上最年少の五ツ星タマリエなんですね。まずは自己紹介をお願いします。

―半澤さん

はじめまして。五ツ星タマリエの半澤です。祖父が半澤鶏卵を設立し、実家が卵屋さんとして幼い頃から卵に囲まれて育ちました。大学卒業後は鶏卵メーカー株式会社八千代ポートリーに入社し、営業と新卒採用担当を兼任しています。本業のかたわら、半澤鶏卵の後継者として商品の販売・PR活動に携わっています。また、山形県のブランド米「つや姫」の観光大使や、生まれ故郷である山形県天童市の特産品「ラ・フランス」のアンバサダーにも就任しており、ラジオアプリ「Voicy」のパーソナリティ、情報誌『鶏卵肉情報』でのコラム執筆も行っています。

業界の「あたりまえ」は消費者の「おどろき」

―編集部M

「卵」を軸に多方面で活躍されているんですね! 半澤さんといえば、SNSを通じたBtoCの情報発信が印象的です。

半澤さんX画像.jpg

―半澤さん

そうですね。この業界に携わって6年目になりますが、業界にとっては当たり前の知識や情報が、消費者には全くと言っていいほど伝わっていないことがわかりました。

―編集部M

例えば、どのようなことでしょうか?

―半澤さん

「鶏を飼っていると、朝はやっぱりコケコッコーの鳴き声で起きるの?」「養鶏場ではオスとメスを半分ずつ飼うの?」「黄身が赤いたまごって栄養価が高い?」「平飼いたまごは鶏にストレスを与えないから美味しい?」など、数え上げたらキリがありません。

―編集部M

確かに、知らないことだらけですね......。

―半澤さん

私の見解としては、このような「卵」に関する質問を回答できる専門家や団体を見つけられない方が多く、憶測で決めつけているのではないかと思います。こうした状況の中で、私自身「卵といえば」で顔や名前が真っ先に思い浮かぶ存在になりたいと考えました。まずは何か行動しなければという想いで、比較的取り組みやすいSNSを通じて、鶏卵の情報発信や卵の魅力について発信するようになりました。

「卵の "カラザ"は捨てないで!」の投稿が大バズり

―編集部M

半澤さんが以前X(旧Twitter)で投稿した内容は注目を集めましたね。改めてどのような投稿だったのか教えてください。

―半澤さん

ありがとうございます。卵を割ったときに出てくる白い糸のようなものを"カラザ"と呼びますが、このカラザには最強の健康効果を持つシアル酸をはじめ、カルシウムやビタミンB類などの栄養が豊富に含まれています。カラザが出た場合は取って捨てずに、ぜひ大喜びして食べてほしいという投稿をしたところ、200万インプレッションを超える反応がありました。

実際の投稿

―編集部M

大きな反響がありましたね! どのようなコメントがあったのでしょうか?

―半澤さん

「カラザは取るように親から教わっていた」「鶏の心臓や羽になる部分だから食べてはいけないと聞いていた」「料理番組でシェフの方がいつも取っていたから、取るべきものだと思っていた」など、たくさんのコメントをいただきました。何十年間も取り除いて召し上がっている方も多く、衝撃を受けました。

ただ、この投稿を見てから「次は取らずに食べます」「カラザ最強」「有益すぎる情報」などのコメントも寄せられました。私自身、このような投稿をして本当に良かったと思いましたし、業界では常識のことも消費者にとっては常識ではなく、むしろ大切な情報だったと再認識することができました。

―編集部M

そうなんですね! 私も今は取らずに食べてます!

クラウドファンディングで実現する資金調達&認知拡大

―編集部M

半澤さんは、クラウドファンディングでの取り組みにも力を入れていると伺いました。

―半澤さん

過去に、地元山形でのキングコング・西野亮廣氏の講演会開催を目的にクラウドファンディングを実施しました。支援者数473人、支援金額1,224,000円(目標金額の306%)を達成し、東北の講演会規模としては初の750人を動員することができました。その経験を踏まえて、「たまごジェラート」の開発プロジェクトを計画し、2021年7月にクラウドファンディングを募りました。

クラウドファンディング.jpg

―編集部M

美味しそう! どんなきっかけからたまごでジェラートを作ろうと思ったのですか?

―半澤さん

夏場は鶏卵の需要も下がる時期。この状況を打開し、鶏卵の消費拡大に貢献できる商品を作りたいと考えました。クラウドファンディングを絡めることで、開発に要する資金調達はもちろん、大きな宣伝効果を得ることができます。結果は総支援金額1,624,500円(目標金額の541%)、応援者数309名の支援をいただきました。これを契機にクラウドファンディングに挑戦したい方からのご相談が増え、クラウドファンディングのサポートや代行、コンサルティングを行う事業を立ち上げて活動しています。

―編集部M

クラウドファンディングを通して、資金調達はもちろん、会社のことや業界のことを多くの方に知っていただく機会になりましたね。

左から『もみじたまごジェラート』と『燻製香るお米卵ジェラート』

―半澤さん

はい。クラウドファンディングでは、立ち上げた新商品だけでなく既存商品をリターンとして設定することができます。新しいものが好きな方や、卵について関心のなかった方にも自社の商品を知っていただく機会になります。商品の開発を通じて多くの方を巻き込み、みんなで作り上げていくようなプロジェクトは、今後の鶏卵業界でも取り入れるべきです。

インターネットを活用した取り組みのため、手を出しにくい鶏卵メーカーも多いとは思いますが、鶏卵に対する興味関心を広げて、消費拡大への後押しにしてほしいと強く願うばかりです。初めての方や不慣れた方に対しては私も全力でサポートします。ぜひ協力させていただきたいです。

卵のギフトがSNSで拡散

―編集部M

企業はSNSをどのように活用していくべきでしょうか? 使い方に関するアドバイスをいただきたいです。

―半澤さん

最近はBtoCの発信が増え、プレゼントキャンペーンなども実施する企業も多く見られるようになりました。仮にフォロワーが多くなくても、投稿の内容次第では100万人以上の方に閲覧され、バズることも珍しくありません。イベント開催を呼びかけて、そこで卵に触れる機会を作るのも一つの手でしょう。

しかしながら、卵関連のイベントに限定してしまうと、ターゲットが広がりません。あえて関係のないイベントで卵を届けるというアプローチも大切です。先述した講演会では、来場いただいたすべてのお客様に、半澤鶏卵の半熟燻製たまご「スモッち」を無料で配布しました。お客様の目的は講演会を聞くことであり、卵を貰うために来た方は一人もいなかったと思います。ただ、当日のイベントと卵を撮影してSNSに投稿された方が多く、その反響の大きさに驚きました。最終的に登壇者の作品をパッケージに印刷した商品を販売することができ、より多くの方に知っていただく機会になりました。

中には「卵ってチープなイメージだったけど、これならお歳暮などのギフトでも使いたい」というコメントもあって、今まで思いつなかった「ギフト」として購入されるケースが増えました。

半澤鶏卵の半熟燻製たまご「スモッち」

「アップデート」で業界の後継者を増やしたい

―編集部M

様々な取り組みを通して鶏卵業界を変えていっているんですね!

―半澤さん

そうですね。「変える」というよりかは、先人たちが築き上げたものを活かし、「アップデート」させていくことが大切だと考えます。鶏卵業界自体はそれほど大きな規模ではありません。しかしながら、卵は人々の生活になくてはならない素晴らしい食材です。

近年は後継者不足で悩まれる鶏卵メーカーも多く、卵が持つ魅力を発信できていないことが課題です。それを改善するには、業界一人ひとりの意識や行動を変革し、挑戦し続けるしかありません。卵には、私もまだ知らないような魅力があると思います。自分自身の発信力を高めて、さらなるたまごの消費拡大に貢献していきたいです。「卵って奥が深い!」「卵関連の仕事に就きたい!」と思っていただける若い方々が増えるように、これからも活動を続けていきます。

―編集部M

本日はありがとうございました。「たまペディア」も今後の鶏卵業界を盛り上げるために、頑張ります!

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