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生たまごの栄養や賞味期限は?茹でたまごとどう違う?生食ならではの特徴を解説

生たまごの栄養や賞味期限は?のイメージ

たまごの食べ方で一番手軽なのは、なんといっても生食。代表格のたまごかけご飯は、大人も子どもも好きな味で、豊富な栄養が取れるので重宝しますよね。この記事では、そんな生たまごを深堀り!栄養や賞味期限の、茹でたまごとの違い、また、知っておきたいポイントを解説します。生たまごの知識を深めて、上手に、安心して取り入れましょう。

〈目次〉

1. 生たまごと茹でたまごで栄養価は違うの?
 1-1. カロリーに大きな違いはない
 1-2. 生食と加熱では相性の良い栄養素が違う

2. 生たまごは、熱に弱い栄養を逃さず取れるのが最大のメリット
 2-1. 免疫力アップと美容にうれしい「ビタミンB群」
 2-2. 妊婦さんだけじゃない、生活習慣病予防にも「葉酸」
 2-3. 抗菌作用抜群の「リゾチーム」

3. 生たまごはいつまで食べられる?意外な賞味期限の秘密
 3-1. 殻を割る前の賞味期限は、生たまごが一番長い
 3-2. 生たまごを安心して食べられる、正しい保存方法
 3-3. 生たまごを安全に食べられる理由

4. 生たまごを上手に取り入れるために、知っておきたいポイント
 4-1. サルモネラ菌の正しい理解と対策
 4-2. 茹でたまご・半熟たまごに比べると消化はゆっくり

5. 正しい知識を深め、生たまごのパワーを最大限に生かそう

1. 生たまごと茹でたまごで栄養価は違うの?

生たまごのイメージ

たまごを毎日の生活に取り入れるメリットはたくさんあります。特に生たまごは、冷蔵庫から出して殻を割るだけの、手軽な栄養食。ここでは、茹でたまごなど加熱したたまごと、生たまごでは、栄養面にどのような違いがあるのか、詳しく解説します。

1-1. カロリーに大きな違いはない

生たまご1個(50g)のカロリーは71kcal、茹でたまご1個は67kcalと、大きな差はありません。

たまごは、低カロリーで低糖質、高たんぱくで、ダイエットや筋力アップ、免疫力サポートに注目されている食品のひとつ。それ以外にも、多様なビタミン、日本人に不足しがちなミネラルなど、多彩な栄養が含まれているスーパーフードです。

参照:たまペディア「 たまごは1日何個まで食べていい? コレステロールの関係とその栄養についてわかりやすく解説

1-2. 生食と加熱では相性の良い栄養素が違う

カロリーに大きな差がない生たまごと茹でたまごですが、栄養面では、加熱によって、熱に弱いビタミンなどは少なくなるなど、それぞれに相性の良い栄養素があります。
例えば、たんぱく質。生たまごでも良質なたんぱく質は取れますが、加熱すると消化吸収率が50%から90%に上がることがわかっています。
では、生たまごには、どんな栄養的メリットがあるのでしょう。次から詳しく説明します。

参照:たまペディア「 たまご1個に含まれるたんぱく質量はどれくらい?たまごのたんぱく質の上手な取り入れ方を紹介

2. 生たまごは、熱に弱い栄養を逃さず取れるのが最大のメリット

生たまごの最大のメリットのイメージ

あの小さな1個に、健康を支える多彩な栄養が含まれていることがたまごのすごさ。これらの栄養を逃さずに取れることが、生たまごを食べる最大のメリットと言っても過言ではありません。ここでは、加熱によって失われてしまう、生たまごならではの栄養を紹介します。

2-1. 免疫力アップと美容にうれしい「ビタミンB群」

疲労回復にはビタミンB群、と知っている人も多いかもしれません。このビタミンB群は、加熱に弱い栄養素のひとつ。炭水化物やたんぱく質といったエネルギー源の代謝を助け、粘膜を丈夫にすることで、免疫力を強化してくれます。皮膚や爪、目の健康にも良いと言われていて、健康から美容まで、多方面にうれしい栄養です。
不足すると、口内炎・口角炎や脂漏性皮膚炎などの小さな不調から、巨赤芽球性貧血や脊髄・脳・神経の障害など大きな問題を引き起こすこともあるため、日頃からしっかり取り入れたいですね。

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

2-2. 妊婦さんだけじゃない、生活習慣病予防にも「葉酸」

葉酸は、ビタミンB群の一種で、妊活中の人や妊婦さんには病院でも推奨される、馴染み深い栄養素。DNAやRNAを合成し、細胞を産生したり再生することで、胎児の発育を助け、先天異常(神経管閉鎖障害)のリスクを減らす効果があるためです。
さらに、赤血球を作る「造血のビタミン」とも呼ばれ、巨赤芽球性貧血を予防したり、近年では、不足すると動脈硬化の引き金になることもわかっており、妊婦さんでなくても、意識したい栄養素です。

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

2-3. 抗菌作用抜群の「リゾチーム」

リゾチームは、細菌の細胞壁を溶かして分解してしまう、溶菌・抗菌作用のある酵素。聞きなれない名前かもしれませんが、その抗菌作用は、鶏卵由来の食品添加物としても活用されているほどメジャーなものです。抗菌だけではなく、抗ウイルス、抗炎症にも関与していると考えられていて、人間の体の中でも、免疫機能をサポートし、感染症を予防してくれる、頼もしい栄養素です。

3. 生たまごはいつまで食べられる?意外な賞味期限の秘密

生たまごの賞味期限のイメージ

生たまごは、賞味期限についても、茹でたまごと意外な違いがあります。この違いと理由を知っておくと、より安全に、より安心して、生たまごを取り入れられますよ。

3-1. 殻を割る前の賞味期限は、生たまごが一番長い

意外にも、茹でたまごや半熟たまごと比べて、生たまごの賞味期限が一番長いと知っていますか?(※ただしいずれも殻を割らない状態)
これも、前述の酵素リゾチームの抗菌作用によるもの。リゾチームは熱に弱いため、茹でたまごや半熟たまごでは、その抗菌作用を失ってしまうのです。

たまごに記載されている賞味期限は、生食を前提としています。正しく保存していれば、記載の賞味期限までは、安心して生たまごを食べられますよ。茹でたまごや半熟たまごは、ヒビがないもので、冷蔵保存3~4日で食べ切るのがおすすめです。

参照:たまペディア「 たまごは賞味期限が切れても食べられる!そのワケと正しい保存法・食べ方を徹底解説

3-2. 生たまごを安心して食べるための、正しい保存方法

生たまごは、購入後すぐに、冷蔵庫の温度が安定した場所で保存しましょう。これは、たまごの食中毒の原因になるサルモネラ菌の増殖を抑えるためです。そもそも、日本の鶏卵業界の厳正な環境下では、サルモネラ菌が混入しているたまごは極めて少ないのですが、万が一混入していても、冷蔵保存することで食中毒につながるほどの増殖は防げます。
また、出荷前に洗浄・殺菌されているので、購入後に洗ったり拭いたりすることも不要。それによって殻に傷がつくと逆に不衛生です。冷凍も殻が割れやすく、衛生が保たれないのでおすすめできません。

3-3. 生たまごを安全に食べられる理由

たまごを生で食べられる国は、世界でもほんの一握り。日本はその代表格です。なぜ日本のたまごは安全に生食できるのでしょう。それは、日本の鶏卵業界の徹底した衛生管理の賜物なのです。
日本の養鶏場では、鶏の生育状況に応じて鶏舎が分かれています。また、ケージ飼育システムといって、鶏と鶏糞とたまごが分断され、衛生が保たれるようになっています。
さらに、採卵されたたまごは、各地域に密着しているGPセンターという施設に運ばれます。ここでは、30℃以上のお湯による洗卵、殺菌剤や紫外線等による卵殻の殺菌、センサー・画像・光等を用いた機械による検卵が行われています。このような厳正な工程をくぐり抜けた質の良いたまごだけが、迅速に出荷されているのです。

4. 生たまごを上手に取り入れるために、知っておきたいポイント

生たまごを上手に取り入れるポイントのイメージ

手軽さに加え、栄養や賞味期限の観点からも、加熱よりも生食に魅力を感じた人も多いと思います。そんな人に、より安心して、より上手に、生たまごを取り入れるため、知っておきたいポイントを解説します。

4-1. サルモネラ菌の正しい理解と対策

たまごの食中毒の原因になるのは、サルモネラ菌ですが、日本では、たまごの中にサルモネラ菌が存在している頻度は0.003%と非常に少ないのが実情です。また、万が一存在していても、その量は微細で、食べても健康に問題はありません。
食中毒につながるのは、間違った保存環境で、サルモネラ菌が増殖してしまった場合。そのリスクをなくすために、正しい方法で保存することが大切です。
また、サルモネラ菌は70℃、1分の加熱で、死滅させることができます。もし、うっかり殻を割ってしまったり、賞味期限が切れてしまった生たまごは、加熱調理してすぐに食べれば、過度に食中毒を恐れる必要はありません。

4-2. 茹でたまご・半熟たまごに比べると消化はゆっくり

生たまごは、加熱したたまごに比べると、消化に時間がかかることが知られています。消化の速さは、半熟卵→茹でたまご→生たまごの順。これは、加熱したほうが、たまごに含まれるたんぱく質が変性し、消化しやすくなるためです。そのため、胃腸の調子が悪いときや、免疫力が落ちている人は、生食はお休みし、半熟たまごや温泉たまごにアレンジするのがおすすめ。
生食・加熱・半熟と、体調に合わせた食べ方ができることも、たまごの強みです。

5. 正しい知識を深め、生たまごのパワーを最大限に生かそう

生たまごのパワーを生かすイメージ

生食と加熱、それぞれにメリットがあるたまご。特に栄養や賞味期限の観点では、生たまごならではの特徴があることがわかりました。たまごの正しい知識を深めることで、このスーパーフードのパワーを最大限に生かしていきたいですね。

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