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「卵」と「玉子」はどっちが正しいの?その違いと使い分けについて深掘り解説!

卵と玉子の漢字の使い分けイメージ

「たまご」と聞いて、あなたはどんな文字を思い浮かべますか?卵、玉子、たまご、タマゴ・・・いろいろな表記がありますが、この違いは何でしょうか。また、「卵丼」と「玉子丼」、それぞれからどのような料理を思い浮かべますか?これもまた、人によってさまざま。おもしろいですね。この記事では、たまごの表記について、一緒に考えてみましょう。

〈目次〉

1. 漢字の成り立ちから考える「卵」と「玉子」の違い

漢字の成り立ちから考える「卵」と「玉子」の違いのイメージ

玉子焼き、卵とじ、玉子豆腐、半熟卵、煮玉子・・・私たちの周りには、「卵」と「玉子」が複雑に混在していますね。そもそも、なぜたまごには、2つの漢字表記があるのでしょう。この違いは何なのでしょうか。漢字の成り立ちを探ると、その答えが見えてきます。

1-1. 「卵」の成り立ち

「卵」という漢字の成り立ちから、考えてみましょう。「卵」は、虫やカエルの卵が連なっている様子を表した象形文字です。

卵の漢字の成り立ちイメージ

そのため、鶏卵に限らず、「虫の卵」、「カエルの卵」、「魚の卵」等、あらゆる生物のたまごには「卵」という表記を使用します。
「卵」という漢字は、日本最古の歴史書である『日本書紀』や、日本最古の和歌集『万葉集』にも記述が残っていますが、当時、鶏卵は「かひのこ(殻の子)」と呼ばれていました。

1-2. 「玉子」の成り立ち

「玉子」という漢字は、音による当て字であると言われています。
前述の通り、「かひのこ(殻の子)」と呼ばれており、その後「たまのこ」と呼ばれるようになりました。そして江戸時代、日本イエズス会による宣教師のための辞書「日葡辞書」(1603~04)には、鶏卵の意として「tamago」の記載があり、このころにはすでに「たまご」という音が存在していたことがわかります。
「玉子」という表記は、その後の1643年、日本最古の料理本と言われる「料理物語」に、初めて登場したと言われています。

2. 鶏卵を表す「卵」と「玉子」の使い分け

鶏卵を示す卵と玉子の使い分けのイメージ

「卵」と「玉子」、2種類の漢字には違う成り立ちがあることがわかりました。この違いを踏まえて、一般的な使い分け方を2つ紹介します。

2-1. 性質で使い分ける方法

1つ目は、それぞれの漢字の成り立ちに沿った使い分け方です。
「卵」は、孵化して育つ"生き物のたまご"として、生物学的な意味で使います。
実際に使ってみると一目瞭然、「卵からヒヨコがかえった」 と、「玉子からヒヨコがかえった」では、前者のほうが自然ですね。
一方、「玉子」は食用の場面で使用します。「甘い玉子焼きを作る」、「味付け玉子を追加する」といった具合です。

2-2. 状態で使い分ける方法

2つ目は、食用たまごを、さらに区別する使い方。
「卵」は生の状態のたまごを、「玉子」は加熱した状態のたまごを表します。「生卵」、「卵かけご飯」、「玉子焼き」、「だし巻き玉子」などです。
ただし、「ゆで卵」や「温泉卵」など、加熱したたまごでも、「卵」と表記される場面も多く、この使い方は非常に曖昧です。

2-3. 「玉子」は鶏卵ならではの表記

「卵」は鶏卵も含む生き物のたまご全般に使われるのに対し、「玉子」は、他の生物で使われることはほとんどなく、鶏卵のみに特化した表記だとわかります。「カエルの玉子」「虫の玉子」のようには使いませんし、同じ鳥類で、食用にもなるうずらでも「卵」表記のほうが多いですね。
食用として日本文化に深く根付いてきた鶏卵だからこそ、独自の表記が発達・定着したと考えることもできるのではないでしょうか。

3. たまペディアが「たまご」と表記するワケ

「たまご」と表記するワケのイメージ

たまごの表記問題、これまでの記事でもわかるように、絶対と言えるほどのルールはありません。たまペディアでは、ほとんどの記事で、ひらがな表記の「たまご」で統一しています。この表記について、私たちの考え方を紹介したいと思います。

3-1. 表記で印象が変わる、日本語のおもしろさ

「卵丼」と「玉子丼」、さらには「たまご丼」、「タマゴ丼」―。それぞれ、あなたはどんな料理を思い浮かべるでしょうか?
使い分けの諸説から考えると、「卵丼」は生のたまごがのっている、たまごかけご飯のようなものを、「玉子丼」は玉子焼きや炒り玉子など加熱したたまごがのった料理をイメージする人が多いかもしれません。しかし、どちらが正解ということはないのです。
ひらがなとカタカナでも、受ける印象が違うと思います。一般的には、カタカナは外来のものに使われることが多いですね。
表記で印象や意味が変わる、また、それを目的に応じて使い分けられるのは、日本語特有のおもしろさだと思いませんか。

3-2. たまペディアが「たまご」をひらがなで表記するのは・・・

表記ひとつで、まとう印象や意味が変わるからこそ、たまペディアでも大切で慎重な検討がありました。現時点では、特別な理由(※)がない限りは以下のような理由で、ひらがな表記に統一しています。

・漢字表記の混在による混乱を避けるため
・日本に古くから根付いてきた食文化であることを考慮

また、前述の通り、漢字表記の使い分けは曖昧なもので、受ける印象は、ひとりひとりが持つ背景や感性によっても変わるものです。たまペディアでは、みなさんそれぞれの、たまごとの関わりや感性を大切にしたい。そんな思いも込めて、どちらでもない「たまご」を使用しています。

※表記による意味づけを意図している学術・行政等の文章や固有名詞など

4. 表記から読み取る、大切に育まれてきた日本の鶏卵文化

日本の鶏卵文化のイメージ

表記を深堀りするだけで、歴史的・文化的に、いろいろな側面が見えてくるたまご。私たち日本人にとって、大切に育まれてきた文化のひとつだと言えるのではないでしょうか。こうした歴史が、今では世界に誇る、日本の鶏卵文化に連綿とつながっているのではないかと、私たちは考えています。

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